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膳所在住のゼゼラと竹生島在住のカワウが、外来魚問題についての疑問に安曇川沖の沖の白石で答えるという企画です。これはどうなのという疑問などがありましたが、送信フォーム、info@zezera.com、FAX:03-3271-5416までどうぞ。直接の返事を希望する場合は、その旨書き添えてください。
↑Q1〜Q20へ
Q21.批判ばかりしてどうするのですか?(2003.2.15)
Q22.長野県・木崎湖では、バスを釣る時、漁協に遊漁料を支払うにもかかわらず、県から駆除費が支払われています。どういうことなのでしょうか?(2003.2.17)
Q23.バス関連雑誌が今まで外来魚問題を積極的に取り上げなかったのはなぜでしょうか?(2003.2.20)
Q24.バサーと漁師はお互いに共存していく道は無いのでしょうか? 漁師の方は全て駆除派なのでしょうか?(2003.2.23)
Q25.細かい質問にもなるべく答えましょうという回です(2003.2.26)
Q26.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<混入編>(2003.2.28)
Q27.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<移植放流編>(2003.3.5)
Q28.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<移植放流編その2>(2003.3.12)
Q29.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<流出編>(2003.3.16)
Q30.キャッチ&リリースは命を大切にしているのか、命をもてあそんでいるのか(2003.4.12)
Q31.琵琶湖の外来魚は本当に1250tにできるのか(2003.5.5)
Q32.法科大学院適性試験の問題で考える外来魚問題(2003.10.11)
| Q21.批判ばかりしてどうするのですか?(2003.2.15) |
ゼゼラ「という意見がきました」
カワウ「正直なところ、駆除派に対してバサーはこれまでおとなしすぎたところがある。それが裏目に出ているように思う」
ゼゼラ「時と場合によって、批判や論争よりも妥協することが必要なこともあるんだろうけど。いろいろと知識があって作戦で黙っているのかと思っていたら、どうも、単にあまり知識がなく黙っている人が多いようで」
カワウ「ブラックバス批判、バス釣り批判をされた時に、『それはおかしい』と言えるだけの知識はやっぱり持っておくべき。駆除派の主張の内容とか、そのどのあたりが変なのかとか。それを表に出すか、黙っておくかはまた別として。とりあえず知っておくことはやはり有利になると思う」
ゼゼラ「ということなので、ここに書いていることが絶対に正しいとは限りませんが、考えをめぐらせるヒントになればよいと思ってつくっています」
| Q22.長野県・木崎湖では、バスを釣る時、漁協に遊漁料を支払うにもかかわらず、県から駆除費が支払われています。どういうことなのでしょうか?(2003.2.17) |
ゼゼラ「メールでいただいた質問です。魚種認定されていないけれどもバサーから遊漁料を徴収している例は他にも結構あるみたい」
カワウ「最右翼は長野県・野尻湖だけど、まああれは自主的に魚種認定してるようなものだから別として、問題になってくるのは駆除しているのに徴収する場合だね。何を根拠にしてるの?」
ゼゼラ「漁協としてはバスを認めたわけではなく、多くの場合は『遊漁料を元手に放流した魚をバスが食べている』『バス狙いでも、放流した魚が釣れることもある』といった理由で支払いを求めているよう」
カワウ「なんだか納得してしまう理由だけど、払わないといけないの?」
ゼゼラ「『魚種認定されていないバスを釣っているのだから遊漁料は払わないぞ』と言い張ることも可能だけど、問題を大きくして対立を深めてしまう可能性が大きいだろうね」
カワウ「実際、漁協が放流した魚を食べてバスが育っているだろうし、間接的にバサーも恩恵をこうむっていることに違いはないね」
ゼゼラ「いい関係を築いておけば、将来的に野尻湖のような形にもっていくことも不可能ではないだろうし、まあ、払っておけばいいんじゃないの?」
カワウ「でも駆除もしてるとなると、納得できない気持ちも...」
ゼゼラ「まあ、この質問に正解はないね」
| Q23.バス関連雑誌が今まで外来魚問題を積極的に取り上げなかったのはなぜでしょうか?(2003.2.20) |
ゼゼラ「メールでいただいた答えにくい質問です。内情を知り尽くしているわけではありませんが、『硬派な話題では雑誌は売れない』というのが大きいのではないかと思います。これは釣りに限らず、いろいろなジャンルの本、雑誌、テレビなどに共通のことだと思いますけど。民放テレビ局がゴールデンタイムにニュース番組をやらないのと同じです」
カワウ「基本的に釣りというのは楽しむためにするわけだからね。外来魚問題のように複雑な社会問題を取り上げられても楽しい気持ちにはなかなかなれないよね。それと、一刀両断に書くとなると釣り業界内の動きについて書くことは避けられないと思うけど、釣りメディアも釣り業界の一員だから、内情を書くというのは無理がありそう。『高宮さんと加藤さんが...』なんて書けそうにない」
ゼゼラ「琵琶湖がリリ禁になるということで、最近はさすがに外来魚問題を取り上げるようになってきてますが、それでも扱いは小さいし、文字サイズを小さくしたりして限られたスペースに詰め込んだりしているわけです。もっと大きく取り上げたいと思っている人も関係者にはいるようなのですが、編集上なかなか通りにくいと聞きます」
カワウ「それに対して、業界とは縁遠い人がネットで書くというのは、ほとんど縛りがなくて、書きたいことを書きたいだけ書けてしまうわけだよね」
| Q24.バサーと漁師はお互いに共存していく道は無いのでしょうか? 漁師の方は全て駆除派なのでしょうか?(2003.2.23) |
ゼゼラ「メールでいただいた質問です。これは、共存していく道はないのかということではなく、どうにかして共存していかなければならないのです」
カワウ「漁業者には、何せ漁業権があるからね。漁業権は強い。釣り人の同意なしに川にダムを作れても、漁業権を持っている漁業者の同意なしにダムは作れない。悪い関係にはならないほうが絶対に良い」
ゼゼラ「漁業者の言うがままにする必要はないのですが(言うがままにしておくと、滋賀の県漁連会長のように漁業権を根拠に恐喝する人が現れるのです)、つかず離れず良い関係を作ることは大切でしょう。あわよくば取り込んでしまって、『バスを魚種認定しましょう!』ということで一致団結。これが最強です」
カワウ「漁業権というものが存在することの是非はいろいろとあるけど、それはどうがんばっても2〜3年で片付く話ではないので、とりあえず漁業権というものがあるという現状を踏まえてどうするかを考えた方が良いと思う」
ゼゼラ「そして、質問の後半、漁業者はすべて駆除派なのでしょうかということですが...」
カワウ「元々いなかったワカサギを放流している例が多々あるように、同じく元々いなかったバスを利用するということはあり得なくはないと思う。ここのところは、生物多様性を重要視する生態学者などとは、漁業者は考え方が違うはず。食用という点ではバスは一般的ではないけど、淡水の魚は今の時代、食べるというよりも釣って楽しむものになってきてると思うし」
ゼゼラ「ただ、時代的に、新たにバスを利用する(魚種認定する)となると、生態学者からのプレッシャーもきつく、なかなか難しいところも多いでしょうね。だから、外来魚問題はややこしくなってしまっているわけですが」
| Q25.細かい質問にもなるべく答えましょうという回です(2003.2.26) |
カワウ「今回は、細かい質問にもなるべく答えましょうという回です。では1つめ」
――コラムを読んでいて感じたのですが、あなたたちは敵の(あえて敵とします。)あげあしとりを行っているだけで、なにもしてません。実際になにか行動を起こそうとしているのでしょうか?
ゼゼラ「例えば、日釣振の説明資料で引用している資料の一部は、ボクが『こんなのありますよ』と言い出したものだったりします。ただ、ボクは釣りとはそれほど関係がないので、それ以上に何かしろと言われても困るのです。実際の行動は、現に釣りをしている人たちが考えてすることだと思っています」
カワウ「では2つめ」
――リリ禁の発端となった、新潟の奥只見湖の巨大イワナは外来魚であるブラウンか、ブルックトラウトの掛け合わせであるのは本当でしょうか?
ゼゼラ「結論を先に言っておきますが、『確実なことは知りません』。ブラックトラウト(カワマス)というのは北米原産の魚で、奥日光の湯川に生息していることで有名です。また、長野県の上高地では在来のイワナとブルックトラウトが交雑しているということが、1970年代から言われています。奥只見湖でどうなっているかについては、詳しく知らないのでなんとも言えません。ちなみにイワナとブラウントラウトというのは、交雑するとタイガートラウトと言うらしいですが、管理釣り場にはいるようですが野生で生息しているという話は聞いたことがないので、たぶん違うと思います」
カワウ「仕方ないので、2001年9月号のBasser誌の記事を探してきました。森文俊さんが言っているのですが、昔は、人工的にカワマス(ブルックトラウト)と交配させて雑種を作って養殖していた。その雑種は、成長がよくて大型になり、養殖も容易だった。そうした魚を放流してきた過去があるので、イワナが大きいと聞くと疑問を感じる、ということです」
カワウ「では3つめ」
――「ワームが魚の胃に未消化で残る」という件について、あまり聞いた事が無い、情報不足と一蹴していますが、1999年6月に芦ノ湖で、マス類の捕獲調査を行なったところ、60%の固体がワームを飲み込んでいるのが確認されています。記録で残っている以上、不利なものに目をつぶるようなやり方はマズいんじゃないでしょうか。
ゼゼラ「ボクが知っている限りでは、ワームが魚の胃に未消化で残るということが具体的に問題とされたのは、芦ノ湖の例だけなのです。もちろん、そのこと自体はいろいろな場所で起きているでしょうし、そのこと自体がけしからんという議論もあるでしょうが、なぜ特に芦ノ湖で問題となったのかがよくわからないのです。じゃあ河口湖のニジマスはどうなんだろうとかいう話になるはずなのですが、どうもそういう話はないようで。なので、芦ノ湖の一例だけでは何とも言えないと思っているのです」
カワウ「ということで、また次回」
| Q26.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<混入編>(2003.2.28) |
カワウ「このテーマは長くなりそうなので、数回に分けます。まず1回目は混入編です」
ゼゼラ「種苗放流に混入して他の魚が拡散するという話も、外来魚論の議論ではだいぶ一般化してきましたが、なかなかまとまった資料がないのです。『混入』ということ自体が、種苗放流という本来の目的と外れてイレギュラーに起きていることなので、当たり前ではあるのですが」
カワウ「ところがどっこい、面白いのを見つけてしまいました。ブラックバスの話ではないのですが、『オイカワの日本における分布域の拡大』という論文(*)。書いた人が、なんと偶然にも水口憲哉氏。水口氏の博士論文の一部を主な内容としたものだそうです。外来魚問題がどうとか言う以前に、純粋に研究として面白いです。特にオイカワの呼び名の調査などはとても面白いので、興味のある方は国会図書館NDL-OPACの郵送複写サービスなどで是非取り寄せて読んでみて下さい」
カワウ「で、論文の内容を簡単に紹介すると、オイカワという魚は全国津々浦々にいるけれども、元々は関東以西にしかおらず、関東以西でも元々は分布していなかったところもあると。この分布拡大は琵琶湖のコアユ放流事業に負うところが大きく、実際に観察してもかなり混入していた、という内容です」
ゼゼラ「おー。魚の分布拡大について、これだけきちんと調べてまとまっている論文は始めて見たよ」
カワウ「こういう資料もあるし、元々琵琶湖など限られた水域にしか分布していなかったハスなんかが全国津々浦々にいるということからも、混入というのは確実に起きていて、ブラックバスももちろん混ざっている(いた)と推測できます」
ゼゼラ「ただ、あくまで『推測』で、確実な証拠がなかったんだよね。『アユと一緒にバスも放流してしまってますか』と聞くのも難しく」
カワウ「そこで登場するのが、京都府内水面漁場管理委員会会長の倉田亨氏の文書。リリース禁止条例の制定過程で、リリース禁止賛成の立場で滋賀県に出した意見書なのだけど、『外来魚種苗(仔稚)がアユ種苗に混入して参っていることを拙生自ら確認し、選別強化の必要を感じ乍ら限度があり』と堂々と書いてくれている。どうも倉田氏は外来魚問題の論点がよくわかっていなかったみたい。で、同じく外来魚問題をよく分かっていない環境保護団体の人がこの文書を資料として出してきたために、この衝撃の内容が明るみに出ることになったわけ。ここまでストレートに書いた文書は、それまで見当たらなかったから、もうビックリ」
ゼゼラ「となると、水口氏の論文と倉田氏の文書で、ブラックバスの混入による拡散は確実にあると言えそうだね」
カワウ「それと、アユとは別に、ヘラブナなどの放流に混ざっている例もどうもあるらしいのですが、これはまだまだ情報不足」
ゼゼラ「では次回は、移植編」
(*)水口憲哉「オイカワの日本における分布域の拡大」東京水産大学論集25、p149〜169
| Q27.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<移植放流編>(2003.3.5) |
ゼゼラ「前回の『混入編』に引き続いて、『移植放流編』です」
カワウ「文字通り、ある水域から別の水域へ、魚を運んで放流することで、生息域が広がることだね。で、釣り人がブラックバスを勝手に放流して生息域の拡大を図った過去があるために、そのことを『密放流』として批判する意見がある、と」
ゼゼラ「現在のように外来魚問題が大きくなるきっかけとなった、秋月岩魚氏の『ブラックバスがメダカを食う』(宝島社新書、1999年)は、この『密放流』をバス批判の論理の中心においていたわけです。しかも、『業界に関係のある何者か』が組織的に行ったと推測し、生息域拡大の他の要因については全く触れなかったのです」
カワウ「改めて『メダカが食う』を読んでみたので、岩魚説を整理するね。(1)バスが急激かつ全国的に広がったことと、繁殖を見込んで放流する場合には技術・装備・知識が必要なことを考えると、一般の釣り人や子どもが手がけたとは思えない。(2)だから、業界かその周辺に属する何者かが手がけた可能性がきわめて強いと思わざるを得ない。(3)商業主義的なトーナメントの導入は、バス釣り人口が急増させ、じゅうたん爆撃的に密放流が進んだ。――だいたいこんなところかな」
ゼゼラ「秋月岩魚氏でさえ、個人レベルでは無理だろうと言っているというのは重要なポイントでしょう」
カワウ「そうすると残るは業界関与説ということになるわけだけど、生きた魚を大量に運ぶだけでも費用は結構なものになるだろうし、規模が大きくなれば魚を調達すること自体が大変そう」
ゼゼラ「移殖放流があったのは確実なわけですが、拡散の要因として特別に大きく扱うべきなのかという点では疑問を感じるんだよね。このあたり、どんな結論を導くかは人それぞれだと思いますが」
| Q28.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<移植放流編その2>(2003.3.12) |
ゼゼラ「前回は、誰かが勝手に放流してしまったというケースの『移植放流』だったわけですが、1960年代あたりまでに行なわれた移植放流というのは、それ以後のものとは色彩が異なります。今回はそれについてです」
カワウ「『ブラックバス移殖史』(つり人社、金子陽春・若林務、950円)という本に、具体的に調べてまとめられているので、興味のある方は読んでみて下さい。特徴的なのは、『誰が、どこに、いつ頃移植放流したか』という具体的記録があることと、GHQや水産行政といった公的セクターが関与しているということです。ただし、具体的である一方で件数は少なく、記録が残されているのは十数件程度です。
ゼゼラ「そして、1970年ごろを境に、ブラックバスの拡散が急速に進んでいったとされるわけです。その原因は何かということで、前回触れたような『密放流』に関する議論がなされるわけです」
カワウ「改めて『ブラックバス移殖史』を読んでみて―それで書くのに時間がかかって更新ペースが遅くなっているのですが―、面白いなぁと思ったのは、相模湖に関する記述だね。なぜ相模湖にブラックバスが生息するようになったのか、諸説あるらしくて、水産庁淡水区水産研究所・徳永英松氏のコイ種苗混入説、神奈川県水産課の『ひそかに放流された』説、芦ノ湖漁協の『進駐軍が持ち出した』説というのがあるらしい。なんだか、昔も今も同じような議論を繰り返してるんだなぁと...」
ゼゼラ「では次回は『流出編』です」
| Q29.外来魚の拡散ルートを是非まとめてほしいのです。<流出編>(2003.3.16) |
ゼゼラ「では、今回は『流出編』です。湖産アユ種苗への混入も拡散の一因ですよと言うと、『アユは川にしか放流しないではないか。川以外のブラックバスは密放流だ』と言い出す人がいますが、現実はもっと複雑怪奇なのです。アユ種苗以外への種苗(コイなど)もあり得るわけですが、『導水』や『用水』と呼ばれる人工水路の威力も無視できないようなのです」
カワウ「googleで検索したら、こんなのが見つかりました。愛知県豊田市のホームページにあった『平成14年版環境報告書』の動植物調査。『タイリクバラタナゴ、オオクチバス、ブルーギルなどの外来種は、各地で繁殖し、生息数を増やしています。特に、木曽川、矢作川から導水されたため池には、オオクチバス、ブルーギルなどの肉食種が急速に繁殖し、在来種の稚魚などを食べるため、魚相が変わってきている河川やため池もあります』だそうです。『また、近年の釣りブームで、釣り人が、オオクチバス、ブルーギルなどを放流することも外来種が生息地域を広げる一因となっています。』とも書いてあるけど」
ゼゼラ「ボクの手元にある関連情報も並べてみましょうか。まず、2002年6月6日付京都新聞ネット版。京都市の東本願寺の堀でブルーギルが急増。堀の取水源となっている琵琶湖疏水から入ってきたとみられるという記事。ちなみに琵琶湖疎水というのは、琵琶湖の大津から京都市内へ繋がる用水路」
ゼゼラ「お次は、2002年1月8日付京都新聞。滋賀県彦根市の彦根城の堀で、水質浄化のために旧彦根港の水を引くポンプを動かしたら、堀にブルーギルが急に増えたという記事」
ゼゼラ「『滋賀県湖南地域における魚類分布パターンと地形との関係』(中島経夫ほか、陸水学雑誌62、p.261-270、2001)という学術論文。『(ブルーギルの)扇状地帯での分布は琵琶湖からの灌漑用逆水や人為的放流によるものと考えられる』だそうです。『逆水』というのは、琵琶湖の水をポンプで汲み上げて平野部に送ることです」
カワウ「探せばもっといろいろとありそうだね。養殖していて逃げてしまったなどいうケースも流出の一種だし」
ゼゼラ「ということで、拡散ルートのまとめはだいたいこんなところです。『密放流』偏重の考え方は正しくないし、適切な対策を講じることもできなくなってしまうということです」
| Q30.キャッチ&リリースは命を大切にしているのか、命をもてあそんでいるのか(2003.4.12) |
カワウ「かなり久しぶりな白石会談なわけですが...」
ゼゼラ「まぁ、国松様がコピー代を20円から10円に値下げしてくれて、どんどん情報公開請求をせよと言ってくれているので、ありがたく情報公開請求書を書き書きしてたりしてまして...興味関心が違う方向にとんでしまったので」
カワウ「それでは本題ですが、キャッチ&リリースは命を大切にしているのか、命をもてあそんでいるのかという話です」
ゼゼラ「これはですねぇ、釣る前の時点で考えるのか、釣った後の時点で考えるのかということで、これはほとんど説明できるでしょう。釣り人は、魚を釣ることを大前提にしている。だから、釣った後の時点から考えて、食べない魚を逃がすということは、命を大切にしているということなのですよ。釣り対象魚という資源を保全することにも繋がるし」
カワウ「釣りをしなければそもそも釣り人じゃないもんね。釣りをしないという選択肢は基本的にないんだよね」
ゼゼラ「で、釣りをしない人は、食べないのなら魚を傷つけるな、釣りをするなということを言い出す。それは、釣る前の時点を基準にした考え方なわけ。だから、話がさっぱりかみ合わない」
カワウ「釣りをしない人は結構誤解してるところがあると思うんだけど、食べる釣りというのも、食べることをさほど目的としていないところがあるよね。クーラー一杯に食べきれないほど釣ったり、釣った魚をバケツの中で生殺しにして鮮度を落としたりということは往々にして見られる。食べるだけ釣るっていう発想でやっているわけではない面があるわけで、そんなことをしていると資源を食いつぶしてしまうと、でも釣りはしたいと、それでキャッチ&リリースという話になるのだと思うんだよね」
ゼゼラ「だいたいそんなところなのだと思うけど、釣りする人もそこまで理屈を考えてキャッチ&リリースしているわけじゃないからねぇ。釣りをしない人にはなおさらわからないのかも」
カワウ「ということで、釣りをすることを前提とするか否かの問題であると」
ゼゼラ「アクアリストに、『そんなに魚が好きならば、水槽の中に閉じ込めるのは魚がかわいそうじゃないか』って言うのと同じ話だね」
| Q31.琵琶湖の外来魚は本当に1250tにできるのか(2003.5.5) |
ゼゼラ「資料集に追加した資料(平成14年3月末時点の外来魚生息量の推定(平成13年度推定)、外来魚駆除量と生息量との関係)の解説です。まず平成11年度に外来魚生息量が3000tというのが大前提。で、11年度の外来魚捕獲結果というのがあって、バスとギルの比率が0.157:0.843だったから、それと3000tをかけて、バス約500t、ギル約2500tという数字になっている。そして、11年度と12年度の南湖A漁協エリの1日あたりの捕獲量に差がなかったので、この間で大きな変動はなかったと。ところが12年度と13年度の間になると、今度は南湖A漁協エリではなくて、全漁協の捕獲量を用いている。こちらも大きな変動はなかったということで、11年度から13年度の外来魚生息量に変化はなかったと。これが13年度にバス500t、ギル2500tという話の根拠だそうです。ここまでが前半」
カワウ「えっと、一番最初の3000tというのは、どこから来てるの?」
ゼゼラ「書いてませんでした」
カワウ「11〜12年度を比較するのに南湖A漁協エリを使って、12〜13年度を比較するのに全漁協の捕獲量を使うってのは変じゃないの?」
ゼゼラ「僕に聞かれても... 11年度の全漁協の外来魚捕獲量データがないってことでしょ。全漁協の外来魚捕獲データにしたって、12〜13年度は買取価格を変えてないから比較できるけど、14年度は値上げしてるから比較できないよねぇ。どうするんでしょ」
カワウ「こんなんでいいんですか?」
國松善次「いいんです」
ゼゼラ「真面目な話、いつ、どこで、バスギルのどちらをどれだけ捕獲したのか、きちんとデータ採ったほうがいいと思うよ。県の事業として買い取ってるんだし、それくらいはしてもらわないと」
ゼゼラ「そして後半ですが。諸々の前提条件を元に計算すると、確かに3年間で3000tが1250tになるけど、その前提条件がどこまで正確かは定かではありません」
カワウ「繁殖阻止50%なんてのは過大すぎるのではないかと思うんだけど。バスだけならともかく、ギルも含めてだからね」
ゼゼラ「で、何よりも問題なのは、減ったのか増えたのか、どうやって把握するのかが定かではないということ。さっきも言ったように、値上げしちゃったしね」
| Q32.法科大学院適性試験の問題で考える外来魚問題(2003.10.11) |
ゼゼラ「『法科大学院適性試験』なるものを立ち読みしていたら、ちょっと面白い文章を見つけたので、少し長いですけど、まずはこれから」
2つの事項の関連を調べるとき、それらのデータの散布図(相関図)を描いて考えることが多い。
例えば、1980年代前半の日本における出生児数と完全失業者数をグラフに描くと、非常に強い関係(相関関係)があるようにみえる。なぜなら、1980年代前半の日本における出生児数は年を経るにつれて一貫して減少傾向にあり、完全失業者数は年を経るにつれて大まかには増大傾向にあったからである。しかし、出生児数と完全失業者数の間の因果関係を見いだすのは、難しい。というのも、この2つの事項の関係の背後には、この年代の日本の経済環境や生活様式の変化等、2つの事項の各々に影響を及ぼす第3の事項(以下「第3の事項」という。)が存在しているからである。
このように、見かけ上の相関関係のある2つの事項のデータの間に因果関係があるかどうかを調べる場合、散布図での関係の強さに影響を及ぼす第3の事項の有無を慎重に検討しなければならない。とりわけ、それぞれの事項が、年を経るにつれて一貫して増大していたり、減少していたりするデータの場合には細心の注意を払うべきである。すなわち、グラフで見かけ上の相関があるかどうかを検討するのと同時に、社会科学的観点・自然科学的観点等の諸観点から意味のある因果関係を想定し得るかどうかという検討も行わなければ結論を導き出すことはできないのである。
(法科大学院適性試験第1部第13問・2003年8月31日大学入試センター実施)
ゼゼラ「別にこれでなくても要するに統計分析の話なのですが、文章がまとまっていて、出所が面白いのでこれにしてみました」
カワウ「『年を経るにつれて一貫して増大していたり、減少していたりするデータ』・・・・・・なーんか外来魚問題でもどこかで見たような・・・・・・」
ゼゼラ「この水産課ホームページに載っている『琵琶湖の重要魚類の漁獲量と外来魚の捕獲量の推移』というやつ?」
カワウ「あー、そのものズバリ、『年を経るにつれて一貫して増大していたり、減少していたりするデータ』だね。引っぱってきた文章には、こういうデータはとりわけ『細心の注意を払うべきである』とあるけど、水産課ホームページには細心の注意を払ったのかどうか何にも書いてないな」
ゼゼラ「で、文章をもう1つ」
琵琶湖の沿岸域では、オオクチバスが在来魚を主食としながら激増のピークに達し、その後も優先し続けるかたわら、在来魚の多くが減少・消失していることを、さまざまな知見が整合的に示している。オオクチバスの隆盛と沿岸性在来魚の衰退との間に強い因果関係のあることは、高い確度で推測される。
(中井克樹「ブラックバスをめぐる『論争』 ――社会問題化した外来魚問題」エコソフィア第11号)
ゼゼラ「この記述はブラックバスに関するもので、水産課ホームページのはブルーギルだから、直接同じではないけれども、基本的な考え方は共通してると言ってよいでしょう。引用の前後も含めて、『細心の注意』がされたように読めたとこはなかった。で、共通してるのは、食べている側が増えていて、食べられている側が増えているのだから、食べている側が原因なのだ――という単純な説明になっているということなんだよね」
カワウ「お約束の、バスとギルの胃を開けて『魚が出てきました!』ってやつ」
ゼゼラ「うん。でも、魚とかエビとかは多産多死なわけだから、ほとんどの個体は何らかの要因で繁殖に至る前に死ぬ運命にあるのが普通なのであって、食べているからって直ちにどうこうという話にはなるというものでもないはず。で、しばしば用いられる説明が、『アジア原産の移入種は進化の歴史を共有しているから過度に侵害的にならない。アメリカ原産の移入種は進化の歴史を共有しているから過度に侵害的になる』という説明だけど、これも結構あやしいと思うのよ。『過度に侵害的』って言うけれど、よく考えるとそれはお互い様の話でしょ。必ずしも移入種側が過度に侵害的になるとは限らなくて、在来種側が過度に侵害的になるかもしれないわけじゃない。それに、双方の種を取り巻く様々な環境要因を考えると、元々在来種はその環境の中で生息してきたわけだけど、移入種にとっては未知の環境なわけですよ。だから、一般的に言って、在来種が有利とさえ言えるのではないかと思うわけ」
カワウ「確かに、琵琶湖なんか、色々とサケマス類を放流したけど、結局、ほとんど失敗で、結局生き残ってるのは在来のビワマスだけ」
ゼゼラ「で、最初に引用した文章に戻るのですが、いろいろな駆除論説を読んだけれども、最初の文章で書かれているような『細心の注意』を経た上でのものだと理解できたものは、まあ、ないんだよね。しかも多くの場合『食べる側が増えてます。食べられる側が減ってます。だから食べる側が原因です』という単純な理解をさせてしまうような内容になっているし、おそらくそれを読んだ人の多くがそう理解していると思う。でも実際には、想定し得る『第3の事項』はいろいろあるわけじゃない」
カワウ「人の手のあまり入っていないような離島とかなら別だけど、日本の内水面なんてほとんど人の手が入ってるからね。それがまず『第3の事項』の筆頭になりうるね」
ゼゼラ「よく『自然環境の改変』という要素は、(1)「自然環境の改変→生息場所の喪失により在来種減少」、(2)「移入種の生息→捕食により在来種減少」――というように並列して置かれて、『どちらも問題です』という話で済まされるけれども、実際には、(3)「自然環境の改変→生息場所の拡大により移入種増加→捕食により在来種減少」というように、自然環境の改変が『第3の事項』として移入種に有利に働いていて、その結果として移入種の増加に繋がって、というように関連していると考えるのはごく自然だと思うんだよね。駆除派というのは、そのうちそういう話にステップアップしていくのかと前は思ってたんだけど、なんかいつまで経っても擁護派批判ばっかりで、そりゃ最初のうちは話が煮詰まってないのはまあ仕方ないかもしれないけど、ぜーんぜん話が進歩しないのはいったい何なのかねと」
カワウ「まあ、去年出た魚類学会編『ブラックバス』なんかも、いろいろ話が並べてあるけど、ただ並んでるだけで、全体としての立体感がないと言うか、特に理論的な部分の積み上げが感じられないよね」
ゼゼラ「そういう話がないままに、ただ『駆除』『駆除』と言ってるのは、ホントどうかと思うんだよねぇ」
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