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乙20号証の解説


[その1]

 外来魚問題で出てくる「オオクチバスの増肉係数が10」いう話は、オオクチバスの養殖をしようという時の話ではない。問題は、自然環境中での話である。「滋賀県水産試験場研究報告40」の81頁では、表6に並べたデータの解釈について、自然環境下を推測するためには最も飼育効率の良い数値を選ぶことが適当として、平均は4.3という解説をしている。ところが、この81頁は「乙20号証の1」では省略されてしまっている。そして、「乙20号証の2」が付け加えられて、増肉係数10という解釈となっている。省略された部分にそのような記述があることを被告側は説明しておらず、原告側は数ヶ月以上気付かないままだった。


[その2]

 水温18度で増肉係数10となっているが、「乙20号証の2」を見ればわかるように、その付近にデータが集まっているわけではない。その前後の水温2度分ほどが空白になっていて、水温17度以下のところに8個のデータがあり、残りは水温19度以上のところにある。近似曲線が左上がりとなり、水温18度での増肉係数を10としているのには、水温17度以下の8個のデータが大きく影響している。

 そこで、これら8個のデータを、「乙20号証の1」表6の方で詳しく見てみることにする。すると、摂餌量・摂餌率が他よりもかなり小さな値になっている点が8個で共通していることがわかる。つまり、この8個の増肉係数は、季節が進んで水温が下がり、餌をあまり食べていない状況での増肉係数であって、餌を多く食べている状況でのものではない。だから、見かけの上では大きい増肉係数となって目立つが、実際にはかなり軽い位置づけとなる。

 例えば、「乙20号証の1」表6の「試験区・神奈川県淡水試・I」には、増肉係数が表6の中で最も大きな20.00となっているデータが含まれている。他の増肉係数は7.69、9.62、9.61となっているから、この試験区の増肉係数は10を軽く超えそうに見える。しかし、20.00というのは、そもそも餌をあまり食べていない期間のものであるため、全期間を通算すると結局は9.04となる。

 水温17度以下の8個のデータは、これとみな同じようなものであるから、この8個だけを取り上げてみることにあまり意味はない。そもそも食べている餌の量が極端に少ないのだから。ところが、「乙20号証の2」では、その8個のデータが大きな意味を持ち、「水温18度で増肉係数10」という結論に至っている。


【補足】ここでの増肉係数は、琵琶湖のバスが食べた在来魚の量を推測するために用いられている増肉係数のことであり、養殖などをする場合も含めた一般的な意味での増肉係数ではありません。それを前提としての議論であるため、琵琶湖のバスには使えなくても、一般的な増肉係数としては使うことができる場合もあり得ます。つまり、[増肉係数の算出―(1)→18度で10―(2)→琵琶湖の年間平均として利用 ]という流れのときに、(1)で17度以下を棄却するという話ではなく、[増肉係数の算出←(2)―18度で10←(1)―琵琶湖の年間平均として利用]という流れで(2)がおかしいということです。

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