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2002.9.9 ボート組合による知事宛公開質問状

滋賀県知事國松善次殿

平成14年9月9日

公開質問状

滋賀県フィッシングボート協同組合
理事長寺田京二
代理人弁護士南出喜久治

 当組合は、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例要綱案」(以下「本条例案」といふ。)に対するパブリックコメントの要請に従ひ、平成14年7月12日付意見書(以下「意見書」といふ。)を提出いたしました。
 意見書では、リリース禁止条項等に反対する理由を詳細に述べるとともに、公聴会の開催を要望しました。
 しかし、その後、滋賀県からはこれに関する具体的な協議の申し入れもなく、県主催による一方的なシンポジューム等が開催されるなどの経緯で今日に至りましたことは誠に残念であり、琵琶湖の環境保全のための総合的な観点と対策が必要であるにもかかはらず、あたかも「リリース禁止」がその根本的解決のための対策であるかのやうに突出して取り扱はれ、強引に条例制定へと突き進む現在の傾向に、何らかの意図的な「作為」があるのではないかとの懸念を抱いてをります。
 当組合としましては、公聴会の開催が琵琶湖の環境を保全するために不可欠であるとの確信から、再度、この開催を強く求める次第です。
 そして、その開催のための準備のためにも、以下の事項につきまして、公開質間状として提出させていただきますの十、来る9月25日までにご回答賜りますやうお願ひします。
 なほ、公開質問状と申しますのは、その内容、経過等の一切を当組合のホームページに掲載し、また、マスコミ各社に対して、一切の資料提供をさせていただくといふ趣旨です。

(公開質間事項)
一 因果関係について
1 在来魚の減少は外来魚の繁殖と因果関係があるか否かについて、科学的な根拠がありますか。あれば、その文献等の資料をお示しください。
2 平成13年9月20日に琵琶湖ホールで開催された「第2回琵琶湖、淀川水質浄化共同実験センター成果発表会は、国土交通省近畿地方整備局、滋賀県、水資源開発公団関西支社、財団法人琵琶湖・淀川水質保全機構(滋賀県知事も理事となつてゐる)が主催したものであつて、この発表資料によれば、現在、琵琶湖で問題となつてゐる、耳来魚の増加と在来魚の減少との間には直接の因果関係がないことが証明されてゐますが、滋賀県と滋賀県知事が公表したこの資料をどうして無視されるのですか。
3 在来魚の減少の主たる原因は、直接的には、特定の在来魚を捕獲する商業的漁業にあり、間接的には、繰り返される琵琶湖総合開発などの琵琶湖周辺における開発行為や産業排水及び生括雑排水等の湖水への流入等による水質悪化などにあると考へますが、これらの主たる原因への対策は今後どのやうにされるのですか。
4 滋賀県漁業協同組合連合会から滋賀県が有償で外来魚を買取る際に、同時に捕獲した大量の在来魚も混入させて買取りがなされてゐますが、漁獲高の統計上は、外来魚と混入した在来魚とを明確に区別してそれぞれの漁獲高として認識されてゐるのですか。
二 実効性について
1 以下の統計上又は推計上の数値についてお答へください。
(1)リリース禁止を含む本条例案が話題になる以前において、琵琶湖を訪れる釣り人の人数。
(2)その釣り人の人数のうち、バス釣りを目的とした釣り人の人数。
(3)リリース禁止後において、バス釣りを目的とする釣り人の推計人数。
(4)そのうち、リリース禁止を遭守すると予測される釣り人の推計人数。
(5)リリース禁止を遵守する釣り人によつて減少する外来魚の推計減少数。
(6)リリースが禁止されない従来までの状況で、不完全なリリースによる外来魚の死亡による減少数。
2 以上の点についてご回答される場合、それはどのやうな調査と資料等に基づくものであるかについてご説明いただきたい。
3 リリース禁止をしない現状において、釣り人の滋賀県にもたらす経済効果の実態はどのやうなものですか。統計上又は推計上の具体的項目について詳細に説明してください。
4 リリース禁止を実施した場合、それがどのやうに減少するのかについて、同様に具体的な説明をしてください。
三 補助金等について
1 上記一3のとほり、滋賀県漁業協同組合連合会から滋賀県が外来魚を有償で買取る制度がありますが、その制度の法令上を根拠を示してください。
2 この買取金額の詳細(単位漁協別に、外来魚の種類、その単価、重量、年間買取総額など)について説明してください。
3 混入してゐる在来魚は買取の対象となるのですか。
4 混入してゐる在来魚の種類、数量、重量などの詳細について単位漁協別に説明してください。
5 買取代金の算定において、魚だけの正味重量ではなく、混入した在来魚の重量及び同時に水揚げした際の大量の湖水もその重量に含まれてゐるのはありませんか。まさに水増しによる制度の悪用がなされてゐるのではありませんか。
6 県は、県漁連に対して外来魚駆除促進対策事業及び外来魚回収処分事業として補助金を支出することとは別途に、雇用対策推進室の所管である緊急雇用対策事業として県内労働者に外来魚回収作業を行はせてその対価を支払つてゐると聞き及びますが、この回収作業で捕獲した外来魚はどのやうな方法で誰が回収処分するのですか。
7 緊急雇用対策事業により回収された外来魚も県漁連が引き取り、県漁連が外来魚回収処分事業として回収された外来魚の捕獲量と合算して補助金の対象として水増し請求がなされてゐるのではないですか。
8 この緊急雇用対策事業についても、その対象者は県漁連関係者であり、しかも、その外来魚捕獲作業も午前8時30分から午前10時ころまでに終了し、1、2時間で1万円の高額支給がなされてゐるのではありませんか。
9 買取つた魚はどこでどのやうに処分されるのですか。産業廃棄物として処分されてゐるのですか。その処分について、その具体的な運搬過程、処分場所、処分方法、それらに要する総経費などの詳細を説明してください。
10 その他、滋賀県漁業協同組合連合会関係への補助金の種類、内容、金額等の詳細について説明してください。

2002.9.25 ボート組合公開質問状に対する知事の回答

滋自第810号
滋水第842号
平成14年(2002年)9月25日

滋賀県フィッシングボート協同組合
理事長 寺田京二様
代理人弁護士 南出喜久治様

滋賀県知事 國松善次

リリース禁止条項等に関する公開質問状の回答について

 平成14年9月10日付けで貴組合からご提出のあった公開質問状について、別紙のとおり回答します。

(別紙)
公関質問事項の一 因果関係についての1につきましては、琵琶湖はその長い歴史の中で、琵琶湖にしか生息しない50種を超える固有種をはじめとする多様な生物で構成される豊かで貴重な生態系が育まれてきました。しかしながら、この30年の間にブルーギルやブラックバスといった、元々琵琶湖に生息していなかった外来魚の増加により琵琶湖の生態系は大きく変化しました。
 そもそもブラックバスやブルーギルといった外来魚は魚食性の魚で、現に、琵琶湖で捕獲したブラックバスの胃の中からニゴロブナやホンモロコ、ワタカ等の固有種を始めとする在来の魚類やエビ類が、また、ブルーギルの胃からはヨシノボリ等の在来魚の他、エビ類や魚卵も確認されております。試験研究機関の飼育実験では、ブラックバスが1kg成長するのに必要な餌となる魚類やエビ類の量は約10kgであることが明らかにされています。
 琵琶湖にはピワマスやハス等の魚食性の固有魚も生息しますが、これら魚種は長い進化の歴史の中で、バランスのとれた「喰う−喰われる」の関係が創り上げられてきたといわれています。それに対して、アメリカ大陸で独自の進化を遂げたブラックバスやブルーキルは、琵琶湖の在来魚と共存した歴史をまったく持たず、その食害が過度に侵害的になると考えられています。
 現在、琵琶湖の沿岸域に生息すろ魚類の大半がブルーギルとブラックバスに占められている状況にあり、特に南湖では、漁獲の9割以上がこれら外来魚に占められている状況となっています。一方、産卵場所や時期が重なるため、これら外来魚の食害を受けやすいモロコ類、フナ類といったコイ科魚類の琵琶湖での漁獲は、この20年間で5分の1程度にまで落ち込んでいます。
 以上のような漁獲の状況や研究結果により推計される食害の量から、琵琶湖でのブルーギル、ブラックバスの存在は、在来の魚類やエピ類等の生思に影響を与えていることは明らかであると考えています。
 同2につきましては、琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センターの多自然型水路へは、外部から大型の成魚が自由に侵入できない構造のもとで、どのような魚類などが棲むようになったかを観察したものと聞いています。
 同3につきましては、琵琶湖の在来魚の減少原因は漁業にあるとお考えのようですが、琵琶湖の漁業は、魚の習性を利用した伝統的漁法によって、限られた琵琶潮の水産資源を保護し、琵琶湖の生態系と共存しながら古くから続けられており、近年の急激な漁獲量の減少は、漁業者の乱獲によるものとは考えられません。
 また、ニゴロブナ、ホンモロコ等漁獲対象魚に対しては、県漁業調整規則等によって漁法等に制限が加えられている他、漁業者によって水産資源を有効に利用するため、資源管理型漁業が進められています。さらに、それら魚種を対象とした保護水面が設定され繁殖保護が行われている他、水産業界によって増殖事業が行われています。
 その上、漁業の対象とならないタナゴ類やワタカ等の在来魚の減少も著しく、これら在来魚の減少の直接的影響として漁獲は考えられません。
 ただ、湖岸の護岸化や河川改修工事、ほ場整備工事などによるヨシ帯などの産卵・繁殖場所の減少や自然の水質自浄能力の低下、流域からの生活・産業排水による水質の変化など様々な要因も在来魚減少の原因として影響しているものと考えられます。
 一方で、岸辺の改変が行われていない水面においても外来魚の侵入により、在来種が減少したという結果が報告されており、外来魚は在来魚減少の大きな要因となっていることから、その駆除が重要であると考えています。
 同4につきましては、滋賀県漁業協同組合連合会が行う外来魚駆除事業では、在来魚が混入していることはありません。住民監査請求が出されておりますので、詳細は、そのときに明らかにさせていただきます。
 次に、二 実効性についてですが、釣りというレジャーの側面からも釣り上げた外来魚を再ぴ琵琶湖に戻さないことで、その分確実に外来魚は減るということになります。
 効果の見込みについては、年間約70万人(第10次漁業センサスによる推計)という釣り人の絶対数を考えた場合、外来魚を減らしてゆくとの観点からはリリースを禁止することで相当の効果が期待できるものと考えています。
 そもそも琵琶湖でのリリース禁止は、バス釣りなど釣りそのものを禁止するものではありません。
 リリース禁止後の釣り人の動向については、釣り人が新たなルールをどのように受けとめ、またどのように協力していただけるかにかかっているだけに、具体的に予測をすることは困難です。
 三1から8につきましても、住民監査請求が出されておりますので、その時に明らかにさせていただきます。
 同9につきましては、現在、滋賀県漁業協同組合連合会が漁業者へ捕獲経費を支給して外来魚駆除を行っています。この事業で捕獲された外来魚は、同連合会が業者に委託して魚粉にリサイクルして資源の有効活用を図っております。
 同10につきましては、次表のとおりです。

表 県漁連への補助事業(平成14年度) 単位:千円
名称/事業費/補助金額/事業内容
湖産鮎苗流通促進対策事業費補助金/12,800/6,400/湖産鮎苗の流通促進
水産物産地流通機能強化事業費補助金/1,000/500/水産物の流通促進
栽培技術修得実践事業費補助金/2,200/1,650/漁業者へのセタシジミ栽培技術の移転
複合的資源管理活動推進事業費補助金/840/760/資源管理型漁業の推進(セタシジミ・ニゴロブナ・ホンモロコ)
水産資源増殖事業費補助金/7,013/4,662/ウナギ、コイ、ピワマスの放流
外来魚駆除促進対策事業費補助金/135,000/135,000/外来魚の駆除
外来魚回収処分事業費補助金/22,000/19,800/捕獲した外来魚の回収処分

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